河合塾グループ 株式会社 KEIアドバンス
河合塾グループの株式会社KEIアドバンス(代表取締役社長 矢島敏男、東京都千代田区、以下、KEIアドバンス)はシンガポールのエドテック企業 ClassDo Pte. Ltd(CEO Chung Chiew Farn、以下、ClassDo社)と今後の戦略的提携に向けた覚書を締結し、共同研究を開始します。両社の持つ教育に関する知見とテクノロジーを活用し、学習者に合わせて個別最適化された教育モデルの構築と普及をめざします。
■締結までの経緯
コロナ禍をはじめとした急激な社会の変化やテクノロジーが急速に進歩する現代においては、課題を特定し解決策をつくり出す力の獲得が急務となっています。さらに、加速度的に進む技術革新によって知識の寿命も短くなる中、知識をアップデートするアップスキルや新しい知識や技術を身につけるリスキルの必要性も高まっています。これらの力は従来型の知識・技能の習得を目的とした画一的・一方的な教育モデルでは、対応しきれない現状があります。
そのような中で、教育業界のリーディングカンパニーである両社は、学習者や教員が抱える課題を解決し、新時代の教育モデルを構築する「教育のパラダイムシフト(革新)」の実現を模索してきました。
河合塾グループでAIを活用した教育モデルを開発するKEIアドバンスは2019年に「arsen(アーセン)」プロジェクトを立ち上げました。教育セクターの企業・学校等と連携し、個別最適化により教育体験をアップデートすることをめざし、学習者(生徒)と指導者(先生)の組合せを最適化するアルゴリズム・AI等、最先端の研究開発を行っています。
シンガポール拠点のEdtech企業であるClassDo社は、学習者主体の参加型授業をワンストップで実現できるオンラインクラスルーム「ClassDo」を開発・提供しています。従来型の教師主導の一方的な授業から学習者主体の参加型授業にスムーズに転換できる優れたプラットフォームです。同時に、生徒の学習記録を大量に蓄積するなどオンラインならではの特長を兼ね備えています。
両社が培ってきたこれらの技術やノウハウを掛け合わせ、「参加型学習」と「学習者一人ひとりに個別最適化された教育機会の提供」を実現すべく、共同研究の開始に至りました。
■共同研究の目標
ClassDo社がそのプラットフォームを通じて保有する豊富な学習行動データをKEIアドバンスのarsenプロジェクトが分析し、学習者の非認知能力を評価分析するアルゴリズムとして開発します。このアルゴリズムを『ClassDo』サービスに応用することで、新たな学習体験の提供をめざします。例として、より学習効果の見込める指導者と生徒、もしくは生徒同士の組み合わせの実現などが想定されます。
さらに、このアルゴリズムをさまざまな分野で活用いただくことで、集団授業や個別指導での学び、画一的なカリキュラム・メニューといった既存のモデルを超えた、自律型・自己調整型の学習を実現する新時代の教育モデル構築に貢献します。
ーーーーーーーーーー
[本アルゴリズムの応用先の想定例]
・生徒・学生:個別指導学習における教師のマッチングや教授法の選択、自学自習における学習方法の最適化、学習者のパフォーマンス向上
・キャリアカウンセリング:就職活動の指導・支援のため、個々の学生の特性把握と面接等対策、志向の把握及び職業マッチングへの活用
・企業研修:講師・受講生マッチング、社員キャリア開発・キャリア教育推進、また人員配置の検討に当たっての評価として利用
ーーーーーーーーーー
コロナ禍において、本邦でもオンライン授業などICTを活用した指導が急速に普及しました。その半面、従来型の授業をそのままデジタルに置き換えただけの指導形態も依然多く、ICTの潜在力を引き出すのはこれからという段階です。
一方、シンガポールでは2023年から小中学校での中間テストを全校で取りやめ、代わりに『ClassDo』のような学習プラットフォームに蓄積されたふだんの学習行動を評価に使うなど、高いレベルでのICTの活用が進んでいます。
今回の共同研究では『ClassDo』による教育活動の過程で蓄積したさまざまなデータを使ってアルゴリズムを構築。そのアルゴリズムを『ClassDo』をはじめとした教育プラットフォームで応用することで、更なる学習体験を生む教育モデルの開発をめざします。この教育モデルの活用を通して、両社は日本をはじめ世界の教育に貢献してまいります。
『ClassDo』画像(1)「参加型」 一方的な講義ではなく、学習目標に合わせたさまざまな形態での授業参加方法が用意されている
『ClassDo』画像(2)「個別最適化」 クラス授業の中でも、一人ひとりにあった教材の配布や理解度に応じた個別指導ができる最適化が行われている